売りまくる!トップクラスの一流アパレル販売員達の仕事の流儀

売りまくる!トップクラスの一流アパレル販売員達の仕事の流儀

 

今でこそスローな働き方を選んでいる私ですが、

やる気があっても無くてもある程度売れる力を発揮できるようになりました。

 

年齢を重ねてもアパレルの転職に困らないのは、

若いときにがむしゃらに作った実績がすべてです。

ときには強引な形で試練に巻き込まれても、

その中で学んで身に着けたことや得た発見は

将来の自分を創り、

「過去の自分に助けられて今の自分なんだ」と実感することもあるんです。

 

私の長い販売員人生の中でも、

とくに学びと驚きに満ちた1ヶ月の話をしをしたいと思います。

 

今思い出しても、鳥肌が立ちます。

 

アパレル販売員に優秀な人は少ないと、ずっと思っていました。

今もそれはさほど変わらないですが、ほんの一握り、化け物級の人たちが居たのです。

 

本物の仕事をしている素晴らしい人たちしかいない空間で働いた経験なんて、

あとにも先にもあのときだけでした。

 

今から数年前、インポートブランドに勤めていました。

無名ですが高額なブランドで、

会社もまさに知名度の向上を目指して出店を増やそうとしていたところでした。

地方で1番の売上を取っていた私に、ありがたく販売応援のお話がもらえました。

 

それは、都内の大手百貨店で、2週間ほど期間限定のポップアップ店舗を出し、そこで600万円の売上を出すことで百貨店にアピールし、成功すればその百貨店の常設店舗にしてもらうという話でした。

会社からしたら、

多くのセレブが利用する都内の一等地の百貨店。

何が何でも成功させたく、

この重要なプロジェクトに全国から優秀なマネージャーと販売員を選んだということです。

 

絶望的なプレッシャーで迎えた百貨店プロジェクト

ただ、人数を聞いてビックリしました。

3人です。

3人で600万。

1人200万。

2週間のうち休みを抜いて考えると、1日20万売らないといけない・・・・

通常1ヶ月かけて取っていた売上を半分の2週間で・・・・。

(※最終的にこの鬼企画に二回参加したので、トータル1ヶ月です。)

 

緊張の中、初日の顔合わせに行きました。

その場には4人。

マネージャーはとんでもない小柄美人で、とんでもなく厳しい人でした。

リーダーもまた長身クール美人で、圧倒的存在感でした。

そしてもう一人のスタッフは気が強そうなボーイッシュ女性。

その中に1人だけ、地方から来た私でした。

 

そのときは笑顔を見せてもらえた記憶も無く、

「わざわざ出張費までかけてきたんだからね!」と言われ、

初日からえげつないプレッシャーに押しつぶされそうで、

ホテルに戻ってすごい頭痛と戦ったことを覚えています。

 

唯一、プロジェクトに居て良かったと思えた至福の時間は、

会社からの心遣いで、毎朝ホテルの高級朝食バイキングを利用出来たことぐらいでした。

 

百貨店に挑む!売るプロ集団だけでいざ出陣

オープン前から、メンバーとはさほど打ち解けることも無く、

かといってみんなも「仲良しグループ」ぽい雰囲気も無く、

着々と仕事の準備をしていました。

 

チームで何か団結とかしないの・・・?という思いもありましたが

・・・・とくにしませんでした。

 

オープンしても、百貨店なので基本的に静かで、

人が少ない中で着実に売上を取らないといけないところは、

私が勤務してるボロいショッピングセンターと変わりませんでした。

 

だからこそ、確かな販売力が必要

しかもセレブ達相手に、田舎のショッピングセンターから来た私が接客・・・

怖い、帰りたい( ;∀;)!!!

でも来てしまったからやるしかない・・・・そんな気持ちでした。

悪魔のような『美人鬼マネージャー』

チラッと目をやると、いつも

恐怖の美人マネージャーが腕を組んでジッとこちらを睨んでいます。

 

彼女は全国のマネージャーを束ねる敏腕マネージャーでした。

 
売れなかったら私、10万おろしてきて買うからね!!

と言われ、リーダーと針の筵に立たされた気持ちで顔を見合わせたものです。

 

しかし私がこの人を完全に嫌いにならなかったのは、

その圧倒的外見の綺麗さと、

こんなにまでハッキリと「売れ!!!」と言うところが気持ちが良いのです。

販売員は「売る」のが仕事です。

 

昨今、パワハラと言われるのも怖いし、

モチベーションが下がるからと言って、部下に気を使い過ぎる上司が多く、

売っても売らなくても良いみたいな風潮にもなっており、

販売力の高さが正当に評価されないこともあるのです。

 

ですから、そこが1番の仕事だ!と言い切ってくれるのは、

やる気がある人間からしたら正しく認められてるようで嬉しいのもあり

販売好きの私としては、怖い半面、身が引き締まる思いでした。

 

しかし、歯に衣を着せない物言いは、部下だけでなく上司にも。

とにかくすごい人でした。

泣かせた販売員は数知れず・・・・( ;∀;)

 

ただ、販売上がりのマネージャーで彼女自身もトップ販売員だったため、後々聞いた販売の仕方や意識は「目から鱗」なものばかりでした。

 

そして何より誰にも媚びないし、誰からの媚びも歓迎しない彼女は、

こちらの行動や実績をしっかりと見て褒めてくれる人でした。

ときに美人過ぎて多数の女性にあちこちから僻まれても、

泣き言も恨み節も言わず、いつも凛としていたのです。

プライベートも極力明かさず、集団でつるむことも無く、

まさにカッコイイ仕事人でした。

 

それからこれをきっかけに、この美人マネージャーとは数年一緒に仕事をしてきて、

20年間の販売人生の中でも、最も憧れで1番信頼できたマネージャーとなりました。

圧巻オーラの『クールなカリスマ努力家販売員』

ーダーは私と同じ年でした。

その人を見たとき、長身でびっくりするほど小さい顔、

黒髪でクールな印象ですごく美人ですごく近寄りがたいモデルさんみたいな印象でした。

こんなオーラすごい人、話しかけただけでお客様はひれ伏すように購入するんだろうな~なんて呑気に考えていましたが、実は人一倍努力家でした。

 

自分の中の成功例(うまくいった販売方法やフレーズ)を都度ノートに書いて、

上手くいったものを何度も繰り返し実行してきたと言います。

 

お客様からもクールに見られがちなので、

はじめはそう見せておいて、話し出すと親近感を与える、という自己プロデュースも完璧。

 

「私、今日セット販売の調子が悪いので、客数稼ぐ作戦に変えます」と、

自分の不調にすぐ気づき、冷静に判断し、やり方をすぐ切り替えるのも見事でした。

 

もう、『優秀な要素をすべて持っている』とも言える奇跡の人が、

さらには「売れた日のゲンを担ぐ」とのことです。

売れた日の服装やアイテムを信じて、それを自分のラッキーアイテムにしてしまって自分を応援するのです。

 

彼女の販売に対するひたむきな気持ちと、

売るために行っている具体的な努力を知り、

なんて真面目で地道な人なんだろうとビックリしました。

 

元々口数も多くなくて、黙っていれば「見た目と才能よね。」とか言われて終わるような人です。

憧れが親近感となり、

苦楽を共にするうちに東京に居る間は一緒にごはんを食べて帰ったりする仲になっていました。

 

のちにこの期間限定店舗は晴れてその百貨店にオープンするのですが、

ブランド内のNO.1店舗になるだけでなく、彼女がそこの店長となり、

さらに近隣の店長を束ねるリーダーとなり、

私の知る限り、ずっと全国の販売員ランキングのトップを独占していました。

営業育ちの印象に残る『型破り販売員』

もうひとりの気が強いボーイッシュ販売員は、

営業の仕事から転職してきた人でした。

「私は道に落ちてる石でも売れる」と豪語し、

本人なりの売る作法があって、

私に対しても口うるさく言われたのではじめは好きになれませんでした(笑)

 

ただ、この人の凄いところは「THE・インポートブランドショップ店員」じゃないところです。

要所要所でキチンとはするのですが、基本的にはくだけてる。

笑い声や話し声も大きいですし、

ブランドイメージ云々じゃなくて目の前のお客様と楽しむことを重要視していました。

 

彼女のそういった行動はお客様をリラックスして楽しませることが出来ました。

私ももともとそういった気配の接客をするタイプですが、

彼女の接客で売れてるのを見てから、

ますます「自分もこれでいいんだ」と確信しました。

 

こういう接客はインパクトが強く、ファンもつきやすいんですよね。

「販売員はこうあるべき」というイメージにとらわれない、

自分を確立してる人だったので、彼女なら販売でも営業でも大活躍するでしょう。

美しいものを操る『美意識販売員』

時々、近隣からヘルプのスタッフが来ていましたが、これもまたトップクラス。

(本当に、地方店の私以外、一握りのトップランキング保持者のみでした)

そのヘルプ要員の彼女は、

出勤するやいなや、涼しい顔して1回目の接客で16万円のセットを組んでいてゾッとしました。

 

その人はちょっと独特なムードと独特なテンポでお客様を巻き込むのですが、

何を強く話すわけでもなく紹介するものがどんどん決まっていくのです!!

 

 
どーゆーこと?!

近くで見て動揺しました。

 

あとで聞くと、独学でパーソナルカラーなどの資格を取っているとのこと。

だから、色の呼び方ひとつ取ってもわざわざ素敵。

『青』という色も『セルリアンブルー』とか、『マリンブルー』とか、細かく分かれた色を見分けてロマンチックな呼び方で説明するのです。

 

何故なら彼女は「キレイなものが好き」。

キレイな言葉や台詞を話し、声は小さいながらもそこにまた情緒があり、

話し出すと聞き入らせる能力が高い人でした。

美しいものを他人に解りやすく伝えるのが上手い。

最終日、私は彼女から

キレイなお花のポストカードにメッセージを貰いました。

ミッション達成。一流百貨店常設への道が開けた!

2週間、私もどうにか頑張り、決められた予算を到達し、

また次のシーズンも呼ばれ、同じ経験をし(地獄でしたが1回目よりは楽しめました!)

ついにブランドの常設が決まりました。

最後にみんなでご飯を食べたとき、

それはもう大喜びで達成感でいっぱいでした。

 

美人鬼マネージャーも今までにないような笑顔で、

ちょっとだけプライベートを明かしていたのが印象的でした。

 

帰りに私が食べたものの代金を払ってくれたので、

「自分が食べたぶん、払います」と言ったら、

 
そんなはした金要らないから、さっさと店舗に帰って売ってよ!!

と怒られたのでした。

 

類まれな一流販売員たちと働いて実感した『人の力で売ることの凄さ』

合計1ヶ月という、短い期間で「無名で高いものでも売れる」一流の販売員を間近見ました。

みんなブランド内の売上トップを占める人たちでしたが、

こじんまりした地方で、都内店の人ほど売り上げてもなかった私をその中に選んでくれた当時のマネージャーには感謝しかありません。

 

そしてこの経験と実績を評価され、

私は翌年には本部投票により全販売員の中一人だけ選ばれ、

海外研修に行かせてもらえました。

その投票者の中には、

私を恐怖に陥れた美人鬼マネージャーの票もあったと聞かされました。

 

まさかこんなきっかけで自分が憧れのヨーロッパに行けると思っておらず、決定を聞かされたときは、血が逆流するほどゾッとしたものです。

アパレルは誰にでも出来る言われたり、

本社の人間>>>>>>>>現場の販売員 っていう構図とかイメージとか、

本物を知るからこそ、残念で悔しくて仕方が無いです。

 

もっと世の中に評価されるべき存在。

 

こういう人たちにスポットが当たれば、憧れて目指す販売員もいると思いますし、

販売員全体の士気も上がるのでは、と常々思います。

 

今はネットで買う人ばかりだからなどと言って販売員の育成を投げたまま、

絶滅危惧種の一流販売員の、販売に対する心意気や技術が正当に評価されなくなっています。

 

だいたい、この一流たちに稼いでもらえなかったら会社もろとも潰れる時代ですよ!!

近年ではオンライン接客とかいって近代化にばっかり走りがちなアパレル業界ですが、

本当にもう現場で出来ることは無いのでしょうか?

 

それをほっぽらかしてオンラインに走ったところで、

全てのお客さんが本当に満足できますか?

それを提供できる優秀な販売員は育ちますか?

売り続けられますか?

技術を受け継がなくて平気なんですか?

「売ることはカッコイイ」「売れることは凄い」って

声を大にして言いたいです。

クリーデンス

error: Content is protected !!