お客様が試着した服が『似合ってない』ときの対処法
販売員が嫌われる理由NO.1は、
「似合わないものを似合うと言って買わせようとする。」
と、消費者たちが皆口を揃え言います。
私にも経験がありますが、
自分では全然似合ってないと感じるものを「似合ってる」と言われると、
その言葉は嘘であると真っ先に判断して、
そこからその販売員と話すのが面倒になりませんか?
百歩譲って、本人に嘘をついてる気配が無かったとしても、
販売員として、見立ての能力が低いのではないかと思ってしまう。
その瞬間から、その販売員と話す価値は無くなります。
信用も無ければ頼れもしないだろうから・・・
時々、試着室から出ないで自己完結して「似合いませんでした。」と商品を返し、
険しい表情、もしくは申し訳なさそうな表情で帰られるお客様がいらっしゃいます。
販売員としては、「見せてくれないと接客できない、困る!」と、
そんなふうに思うかもしれませんが、
その場合は、
よっぽどご自身が納得いかなかったということ。
そこまで確固たる印象を、たかだか数分の接客でどうにもできないので、気にする必要は無ありません。
無駄な説得に時間を費やすことが無く、
むしろ他のお客様を接客する時間が増えたのだから、
感謝して快く商品を受け取ってお帰りいただけば良いのです。
気まずいけど、お客様にはしっかり再提案しよう
ただ、
少なからず試着室から出て見せてくれたお客様には可能性があります。
「これ、似合ってないのでは・・・・」と言うお客様の発言に対し、ベストな切り返しは、
よく言われることだが、心を開くには、肯定が一番大事。
「(私は良いと思うけど)あなたはそう思ったんですね」と。
まず、似合う似合わないではなく、
ご自身が「似合わない」と思ったことを一旦受け止め、肯定する。
それは例え、こんなネガティブな場面でも、です。
ただ、それは本人の主観や心配から出た言葉であり、
本当にその商品を着ることがお客様にとって良いかどうか、はプロとして素早いジャッジをしましょう。
そのまま勧めきるか、別の提案をするか、を、まずあなたが心の中で決めます。
「今まで着なかったかもしれないけど、似合うから買いましょう!」なのか、
「着てみるとイメージが違いましたね。では、こちらなんかはどうですか?」なのか。
ここは「プロ」として、あなたの直観で良いと思います。
初対面だからこそ、客観的なイメージを伝えよう。
ここで意外と、お客様とスタッフという距離がある関係が役に立つのです。
自分は普段のお客様を知りません。
だからこそ、
です。
あくまでも、「知らないから言ってる」という前提で、
さも「あなたを知らない多数の大勢が抱く第一印象ですよ」というニュアンスを含みながら。
例えばご夫婦などのお買い物でもこのフレーズは使えます。
服を着る張本人の旦那様は満足しているのに、相談者である奥様は不満。
逆パターンもあります。
出資者であるお母様は気に入ってるが、張本人の息子さんがためらっている。
2人組以上で反応が真逆に分かれてしまったときです。
そんなときに、客観的視点を持った第三者として多数決に持ち込むのです。
勿論、この言葉を言うのは、商品がお客様に似合ってる、購入しても問題ない場合のみにしてください。
そして何故似合ってるのか、根拠を伝えることが何といっても大事です。
「お肌が明るいので、綺麗な色が映えて似合います。」
「脚が長いので細身のパンツのほうがお客様の持つ良さが活きます。」
上記にあるように、何かが良いから似合っているわけで、
根拠を言ってると見せかけて、さりげなくお客様のことも褒めています。
そう、お客様に「安心と喜び(自信)」をいっぺんに提供できるのです。
試着した服が本当に似合ってない!そんなときどうする?!
では、お客様も自分も「似合ってない」と感じた場合。
まず、動揺しない(笑)
お客様の表情が曇ってる、または「似合って無い!」と自ら言われた場合は、
そこは共感してあげるのです。
雰囲気が合わないこともあれば、サイズが違うのかもしれない。
着てみて「アレ?」っていうことはプロでもあることなので、
変に慌てたりしなくて大丈夫です。
間違えたことはすぐ流して、サラリと状況を変える。
そこで「別のアイテム」を持って行くか、
「別のサイズ」を持って行くかの判断をしてどちらか行動します。
似合ってない事実を肯定することは一見勇気が要るように思いますが、
「正直に言ってくれるから良い」と高評価に一転することは本当によくあるのです。
そのときからお客様はあなたを信用し、
また迷ったら本音を話してくれるあの人に相談したい、と思うのです。
私を好んで指名してくれる顧客様の大半が、実はこの「正直」という理由でした。
正直に言うだけでなく、必ず「代わりの提案をする」ことも求められます。
「似合わない理由」を見つけることが出来れば、「何ならば似合うのか」を伝える。
これが販売員の一番の力の見せどころです。
ピンチはチャンス、という言葉があるように、
商品が似合わない、という気まずいピンチ。
ほとんどの販売員が適切な対応を出来ない、事実を肯定する勇気が出ません。
ここでインパクトを残せる販売員はまだ少数派であるため、
上手くいくとお客様の信頼はあなたのもとに集中するでしょう。
どうか、このチャンスを活かして欲しいと思います。
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