コーディネートがわからないお客様を救った私の嬉しい体験談

アパレル販売員とは、「服」を使ってお客様を助ける仕事です。

ほとんどの販売員が勘違いをしています。

ダサい=服に興味が無い、買わない。買うとしても安いものじゃないと、ひとつじゃないと買ってもらえない。と。

服にお金をかけたくないケチな人だから、

見てもないものを勧めたら嫌がられるだけだ、と思っています。

 

「買わされたくないお客様」と「(声を掛けて)嫌がられたくない販売員」、

両者が消極的で、関わることなく終わっていく様子を日々目の当たりにします。

 

「店員に買わされたくない」警戒心が特に強いお客様

「店員には買わされたくない、なるべく無視しよう。」

そういった気持ちが態度に出ているお客様ほど、

特売品のダサい服をずっと着ていたりします。

自分よりファッションが解っている人や客観的に自分を見てくれる人が身近にいないまま、

服を買うタイミングも逃し逃しになっていて、

オシャレをしたくても何を着たら良いかわからない。

 

そうしてる間にも歳は取り、

若い頃の服も似合わないし、

何を着たら良いかわからない・・・

今の格好は自分でも嫌だけど仕方ないよねって思ってそのまんま。

 

つまり、変わる機会に恵まれていないだけなのです。

お金もあるのだから、服を一新すれば本人の魅力が活きますし、

外見が変わることで周囲の反応が変わったり、

何より本人が自分に自信を持つことができます。

お客様にとっては「自分では考えつかない自分の魅力をファッションで知る機会」、

販売員にとっては「大きな売上を作りお客様からも感謝される機会」、

このふたつを無駄にしてしまってます。

余程販売員に嫌悪感を示すお客様でなければ、恐れる事無く、

「お手伝いしますよ」という気持ちで前向きな提案をしてあげるほうが良いのです。

今までに出会った、印象深いお客様の劇的チェンジ

ケース①何を着て良いかわからない「ファッション迷子」を助けよう

 

1人は、

歳のわりには背が高くてスタイルが良い女性、

ただかなり個性的な服の着方をしており、

おそらく若いときの服(今や化石ともいえる見かけないアイテムだけど当時は値が張った良いモノだったんだろう・・・)を着ていました。

失礼ですが、その着こなしから「ちょっと変わった人なのかな」という第一印象を持ってしまいました。

ただお話しするととても上品で親しみやすい方でした。

 

「何を着たら良いのかわからない」と言ってたお客様に、

私はエイジレスなフレンチスタイルを何パターンかコーディネートしました。

 

1回のコーディネートのみだと毎回その服になってしまうので、数パターン紹介してあげるほうが親切です。

もちろん、全部買うか買わないかはお客様が決めることですが、

紹介だけはしてあげることにしています。

結局、お客様のスタイルの良さとロシア系ハーフのような整った顔立ちとフレンチスタイルが見事にマッチして、

お客様には紹介したものすべてを喜んでお買い上げいただきました。

 

数日後、「miさん!すごいのよ!服が変わっただけで、銀行やお店の人たちの私に対する対応がガラっと変わったのよ!」と嬉しそうに来てくださるようになり、

見た目でわからなかっただけで、とても資産もある会社経営者の方だったのです。

 

いつも「変わった人」のような扱いをされていて、

私のような対応をする販売員が初めてだったと、

食事をご馳走してくださったりなど、感謝や賛辞を私にくれたのです。

 

私は単純に「服で困ってる」という人を助けただけで、

売ってやる!なんて思っていませんでした。

ただ、口にはしなくてもこういったお客様は多数います。

むしろそんな悩みをお客様が口にしてしまうようにできたときこそ私は多額の売上を叩きだすのです。

ケース②『ぶりっこババア 』 を『年相応の可愛い母 』 に正そう

女性は誰しも可愛いものが好きです。

花柄、ピンク、フリフリ、リボン・・・・そは対照的にパサついた髪の毛に皺だらけでくすんだ顔、

くずれたボディライン、年増の可愛いモノ好きがおおいにやってしまってる失敗パターンです。

 

可愛いものを持てば可愛くなれるのでしょうか?

好きなものと似合うものは違います。

話を聞いてるとなるほど、周囲が見えてなくて自己中心的。

小柄で可愛らしい雰囲気はあるが、

服で主張しまくって「誰か、私のこと可愛いって言ってーーー!!」と見えるのは、

大人なのに依存的で大人げない内面が丸見えでした。

 

少女趣味なだけでなく、

「安いから失敗してもいいや精神」で身体に合わないサイズの服を買い集めて着てるのでダサさが倍増してます。

どんなに安くてもサイズの合わないものは着たらダメ!

お金を捨てたいんならどうぞ買いなさいって私は言います。

 

そこで、小柄で可愛い女性に、

サイズを正すと同時に、可愛さはスパイスのように少しだけ入れて、

あえて可愛さを消した大人っぽいコーディネートを組みました。

 

すると可愛さのバランスが整って、

「若い人のマネしたトンチンカンなオバサン」から

「同年代と比べて可愛い、年相応の可愛さを持つ人」になったのです。

お客様は大満足で20万ほど買い揃え、

それをきっかけに数年通ってくれました。

年間だと実に多額なお買い物をしていただいてました。

 

ご本人は専業主婦でしたが、

両親の遺してくれたお金を自分に有意義に使えたと言ってくださりました。

そして来るたびに、

いつも息子がファッションを褒めてくれるようになった、と嬉しそうでした。

その笑顔には「誰か私を見て!褒めて!」という以前のような焦りは感じられず、

息子の自慢の素敵なお母さんでした。

 

このケースも同じ、「この人に売ってやろう!」とは思いませんでしたが、

そのトンチンカンなオバサンを正してあげないとって思いました。

『服』を使用し、お客様の悩みを解決し、お客様の魅力を引き出す仕事

「ファッション」で人を救うことができる仕事、それがアパレル販売員なのです。

もちろん、服が好きでオシャレを楽しんでいるお客様、

こちらが見惚れるようなお客様に自店の服を着てもらうこともとても嬉しい事ですが、

「今より素敵な自分になりたい」という意識でなんとなく洋服屋を覗くお客様は多いのです。

こういったお客様は、

「何かお探しですか」なんて聞かれても、困るし萎縮するのです。

 

もしかすると、はじめはぶっきらぼうな態度を取られるかもしれません。

なるべく気さくに対応し、

お客様が話しやすい質問をしてあげたり、

そのお話にしっかり共感してあげて、まず距離を縮めましょう。

 

そしてお客様から「実は困ってて」というフレーズが聞けたら、

「売る」のではなく「助ける」つもりで接客すれば、

両者に思わぬ奇跡が起こるかも・・・!

さあ、今日も

誰かを服で幸せにしましょう。

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