アパレルを渡り歩いて確信した売れてるショップの売れてるしくみ教えます。
昨今、アパレルが厳しいのは言うまでもないことです。
私も何社もアパレルを渡り歩いて来ましたが、売上不振で撤退したお店はたくさんあります。
その中でも、現在勤めているセレクトショップは非常に売りやすく、
いいなと思うところがあるのでここで共有しますね。
売れる理由①取り寄せの多さと手軽さ
取り寄せ=客注はどんなときにするものか。
というイメージでした。
それが、うちの店のスタッフはいとも簡単に客注をします。
お客様がまだ買うと決めてなくても。
お客様としても「買わなかったら申し訳ないから・・・」という不安は無いし、
スタッフは皆「キャンセルもそりゃあるだろう、そしたら別のお客様が買うだけ。」ぐらいの気持ちで受けます。
とはいえ、
8割くらいは購入されてる印象です。「数打てば当たる」ということでしょうか。
取り置きは販売員の労力や相手ショップへの申し訳なさ、
「お客様がキャンセルしいたらどうしよう」という不安などがあるせいで、
お客様には確約前提という条件を提示していましたが、
それこそがハードルでした。
すごく簡単な客注交渉
さて。気軽に客注を受けたあとの流れです。
基本的にはメールなんですが、在庫がある店一覧を探します。
メールの題名は、便利なテンプレートを使用しています。
『○○(カテゴリ)客注依頼 ○○店○○(スタッフ名)』と。
それから通常そのあとに続くであろう「お疲れさまです、お忙しいところ恐れ入ります」などの、
ビジネスメールおなじみの挨拶文一切無し。
アイテム名と品番と色、サイズのみ送る。
受けたお店も「○日出荷です」とだけ短い返信。
もちろん御礼の返信などもしないでOK。
他店に仲良しの人がいたりしてやりたい人はやるけど、というくらい。
それを会社が承認しています。
こんな調子なので客注にかける時間と労力は少なくて済みます。
大量の客注をみんなで管理するしくみ。
今まで働いた店は、
客注というのは「受けた人が責任を持って」でした。
しかし今のお店では、客注をみんなで管理しています。
客注とは手間がかかります。
依頼したお店から商品をもらえなかったら他店舗に相談しないといけないし、届いた商品を検品して、お客様に連絡をするとか配送をするとか。
場合によっては1人のお客様に対して数点の商品を管理することもあります。
そこで、
①依頼した店から確実に商品が送られたデータを見たか
②届いた商品を検品したか(数点ある場合はすべてそろったか)
③お客様に連絡したか
というのを「そのとき手が空いてる人」がやる。
客注においては「対応した担当者」にこだわるところが多かったので、
この流れ作業システムにはびっくりしました。
しかしこの方が、接客が苦手な人でも役に立てるし、接客が得意な人は気兼ね無く接客に行ける。
とても効率的です。
確定した取り寄せは先払いしてもらう。
これはお客様が自由に選べます。
先に払っても良いし、実物を見てからでもいい。
しかし私の体感的に、
思いのほか「払っておきたい」人も多い。
そのときにしかやってない割引フェアやポイントアップで買いたい!とか、
ありますしね。
その場合はタイミングを逃しては購入意欲も半減します。
お店にはすぐ売上が立ち、お客様はお得に買えるという、まさにWin-Winですね。
1番ベストは、同じ商品の色違いを試してもらうなどして100%確約であれば前払いしてもらっています。
欲しい気持ちがMaxのそのときにお金を払ってもらうのが一番ですもんね。
後日はお渡しだけするとか、配送の場合は配送作業をするのも、
これもまた、誰でも対応できるので良いのです。
担当者制だと、
売れる人に忙しさが傾いてしまい、売れない人はどこまでも暇、何の役にも立たないでボーっと立ってるしかありません。
それなら「売れる人を助けることで、売れない力不足を責められない」ほうが両者ラクだと思うのです。
どうせ実力主義に移行なんてできない日本なので、誰が売る、売らないという論争自体無駄なのかなと思います、悲しいですが。
売る人はみんなの給料を稼ぎ、売れない人はその他の業務を請け負ってお互い感謝して共存するしかなさそうです。
売れる理由②使ってなければ返品も基本的にOK!
返品交換はたいしたことじゃない、サクッと済ます
洋服は基本的に不良品以外は返品交換あまり受けないですよね。
それが、この店はお客様の勝手な理由だとしても受けることにびっくりしました。
まあ、
日本人はアパレルの返品交換はダメなところが多い、と思ってるお客様がほとんどなので滅多に無いですが、
恐る恐る申し出たお客様にも快く返金してあげてます。
安心しますよね。
いくらブランドで決められたルールでも、
若干クレーマーのような人に「基本的に返品交換できません」と言うのは火に油を注ぐだけで販売員も余計な労力とストレスがかかります。
これは本当にしんどいことです。
だから、そういう人がいても機械的に対応します。
個人的にはそういう人を店の常連にするべきではないと考えるので、あっさり帰すのが一番だと思うのです。
必殺「あとでサイズ交換しても大丈夫ですよ!」
試着が面倒な人や、ギフトを買うのに相手のサイズがハッキリとわからない場合・・・「これでサイズは合うのか?」という不安で決めきらないことは多いと思います。
返品交換が気軽な店なので、上記のようなお客様に必ずこれを伝えると、決まるのが早い早い!(笑)
説明したあとの最後のひと押しにこの言葉を使うのも良いでしょう。
実際私も、プレゼント購入のお客様には必ず言ってます。
実際交換があったのは半年に1人いるかいないか、ですが、
お客様の「不安を乗り越えて買う」ひと押しになる他、
「お客様目線に立った良いお店」のイメージつきますよね。
そしたらまた別の人にプレゼント買うときも、この店なら買いやすいなって思ってくれるのではないでしょうか。
結局は買いやすさと接客数。購入を妨げるルールや無駄な手間はどんどん省く。
そういうことだったのです。
従来のアパレルには無駄が多かった。
そのほかにも、
DM、電話掛け・・・販売員が色々頑張ったとしても、
ルールの面で結局お客様の心理的ハードルを取り除けないと購入には至らないんですよね。
そこは本社なり店長なりの裁量です。
販売員側も不安や作業量が多いと接客がそっちのけになりがちです。
「気軽に売り、気軽に買う」こんなシンプルなことが未だ出来てないところが多い。
低価格の店ならまだしも、高級店とも言えないちょうど中価格帯のお店こそ、単純に価格競争で張り合っても安い店には敵わない(販売員の接客意欲も削がれる)ので、
改めて伝統的に続いてきた暗黙のルールを一度疑ってみるのも良いかもしれません。